山田洋次「十五才 学校」Ⅳ 焦るな晴耕雨読
梅雨時期の台風、関東地方は夜八時過ぎから、強い雨が風の音を立てて吹き付けていた。午後十一時半ころになって、雨風の音が静まってきた。
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不可抗力な状況に陥ると、人間は何もできなくなる。そうすると、不思議と安心感がある。説明しにくいが、「雷鳴と稲光」で、万事休すとなると、人の気持ちは一瞬にみんな平等だ、というか、それとも、無の境地に変わる。
これは、なんだろう。そんな時間も、稼いでいる人もいるかもしれないが、普通人は何もできない。
不登校の息子がいると、「学校へ行け」と必死に尻を叩いて、息子も苦しいし、親も苦しい。「行け、行け」と叱って、学校に何がある?とふと振り返ると、生きていくのに、学校が不可欠か?と思う。
台風のさなかに学校へ行くほうがいいのか?学校よりモット大事な「命」を守ることがあるじゃないか。コレが一番大切だ、人間、この命の絆を大事にしたいと思ったのが「東日本大震災」だった。そうさ、不登校の子供にお尻を引っぱたいて、苦しめるより、一歩引いて、学校なんか止めて、不登校の息子の側に立って・・・、彼の心に寄り添う時期があってもいい。それが一年、二年と穏やかに過ごすことで、現代社会から逃避してもいいだろう。
この梅雨台風の時間を 山田洋次「学校」Ⅳを見て過ごした。
自然災害の中で、人間は「晴耕雨読」で、自然と立ち向かっていると、疲れてしまう。
焦るな、自然に寄り添って生きることが一番いい。
(あらすじ)
横浜郊外に住む不登校の中学3年生・川島大介(金井勇太)は、
ある日、両親に内緒で九州・屋久島の縄文杉を目指し、ひとりでヒッチハイクの旅に出た。
見終わると、人生を学ぶ場所は、学校ばかりとは限らない
というメッセージを感じる。
大型トラックのいかつい運転手・佐々木康(赤井英和)や女性ドライバーの大庭すみれ(麻実れい)に乗せてもらって、交流を深める。
乗せてくれたすみれが大介を家へ連れてきたのは、引きこもりの息子登(大沢龍太郎)との交流を図るためだった。不登校の大介も、引きこもり少年登も、悩みを持ちながら、それを誰にも打ち明けることのできない子供たち。そんな2人が同じ部屋で心が通い合う。
船着場で、大介はすみれに切符を買ってもらい屋久島に向かう。 彼は、島で出会った登山客・真知子(高田聖子)と共に、険しい山道に挑み、遂に縄文杉を見ることが叶う。その後、真知子と別れてひとり山を降る。下山途中で、遭難しそうになって、一人で行動する厳しさを知る。
屋久島の町で、大介は、老人・鉄男(丹波哲郎)のクルマに乗せてもらって、彼の家に一夜泊めてもらう。ところが翌朝、鉄男の具合が悪くなり、大介は彼の面倒を看るハメになってしまう。しかし、老人=鉄男の介護はまんざらイヤなものでもなかった。
暫くして、博多に暮らす息子・満男(前田吟)がやって来るが、彼は嫌がる父親=鉄男を無理矢理入院させてしまった。
父親を入院させた後、満男(前田吟)が少年大介に一万円を差し出して、いう。 「少ないけど、ラーメンでも食べて」
「こんなものがほしくて、おじいさんのそばにいたのではありません。」
「どうしたんや」
大介はそれを機に長いセリフを語る。 「おじいさんは、おしっこを漏らして恥ずかしいと言って、泣いていたのです。それをあんなに大きな声で知らない人の前で、くさい、なんていったりして。
自分だって、子供のころオムツしていたんだろ。おじいさんに抱っこされて大きくなったのだろ。
その息子にこんなヒドイことをされて、おじいさんがどんなに悲しかったか、大人のくせに、そんなこともわからないのか。それで、一人前なのか、おじさんは・・・。・・・さようなら。」 大介は、この大人の情のないやり方に、やりきれない気持ちを残したまま、横浜の家へ帰る。
しかし、今回の旅で成長した彼は、折り合いの悪い父とも和解し、“学校”という新しい冒険へ挑んでいく・・・。
前半、大介が家出してヒッチハイクという、ありふれた手法で展開するから、平凡な作品に終わりそうな印象であった。しかし、屋久島へ着いて、印象が変わってきた。
登山客・真知子(高田聖子)と知り合って、姉さんのような人と何かよからぬ展開があるか、と思ったら、まったくそういうコトなし。下山途中で道に迷って・・・九死に一生くらいの遭難にあうと、見ているほうはハラハラして・・・、それもそれだけ。 次に丹波哲郎の頑固爺との交流は、先の読めないストーリーに入り込む。爺さんはシベリア帰りで、戦友をたくさん亡くしているという設定で、ちょっとこの爺さんに膨らみを持たせ過ぎているきらいはあるが、丹波哲郎の演技で、屋久島ロケが大いに生きていた。
ここで、丹波の爺さんがこの15歳に向かって「少年よ!」と、呼びかけ用事をたのむ。あるいは、自分が尿漏らしを介護してもらう。この流れで大介が大人オムツを薬局へ買いに行くと、余貴美子が店主でいて、ストーリーが膨らむ。 尿漏らしのことを秘密にして置けなくて、薬局の店主余貴美子が博多に住む息子を呼び、屋久島へ来てもらう。
この親子関係の悪い息子前田吟がやってきて、病院へ入院するように説得する。「勝手にしろ」と頑固爺が折れる。
15歳の少年大介には、この息子前田吟の爺さんに対する対処が、情なしに見えて仕方がない。
ここで、15歳の大介が大人の前田吟に文句をいうシーンを見て、ああ、この子は成長した。ひょっとして不登校が直ってのではないか、と思わせる。
人生の勉強は、学校だけではない。そういいうメッセージが、この最後にきて納得できる。
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