2019年6月 1日 (土)

通信簿 近藤武典先生を思い出す

通信簿は何のために配っているのか、先生方の考えを聞いたことがない。ただ一人近藤武典ブテン先生だけは、「通知表を渡すときが、一番悲しい」と、生徒がなんとも答えて話すわけでもないのに、独り言のように言ってから、おもむろに通知表を渡していた。小学校の4年のときの話である。

 

人間を評価して順位をつけるのは、いけないことだと思っているのを小学生にもわかった。平等と言いながら差別する教育の現状を批判していた。

 

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まあ、そのころ、ヒルに弁当を持って来られない生徒がいて、そういう子は弁当の時間は外に出て、運動場の鉄棒の近くで、ひもじさを我慢していたようだ。教室から見えた。その頃、弁当をときには盗まれたという事件があった。映画見に殆どが行ったのに、行かない子は疑われて、ブテン先生に一人ずつ聞かれた。

 

たまたま私、見たくない映画だったから行かなかったから、疑われる側だった。聴取をうけたが、弁当を持っていたからか、あまり嫌疑をうけなかったが、実際お弁当を盗んで食べた子がいたんだろうか、その結末は子供達に知らされることはなかった。そういう教育配慮はされていたので、誰が泥棒したか、生徒の中では話題にもならず、過ぎていった。

 

人魚が海に落としたモノを拾ってくれた話、教科書に載っていたが、「この人だけが恵まれるのは、よくない。みんなが幸せになるように・・・」と、共産主義社会を頭に置いて話している、そんな感じで聞いていた。とにかく先生は特定の人が恵まれるとか、差別については敏感だった。

 

とはいっても、そう優しい言葉を掛ける先生ではない。言葉は結構乱暴で、水道で手を洗った手を拭く前、、「前の授業でよい答えをした」からと言って、水滴を私の顔に振りかけて来るのは、マイッタ。画家の集まりが学校の講堂で暗幕を張って、裸婦のデッサンが行われていると、「見に行くんじゃない。そんなもの見たら目が腐る!」という言い方をした。

 

私の描く絵がいつも暗い色で、家庭の中の雰囲気が出ていたのかもしれないが、火災予防週間のポスターで炎の色とサイズを強調したら、明るい雰囲気がある、と近藤先生、ほめてくれた。多分、先生の配慮で入選させて、励ましてやろうと思ったのではないか。

 

授業中に、いろんな雑談を語ってくれて、学年末には教科書が終わりまでいかないのが、普通だった。ブテン先生だけではなく、どの先生もそれが田舎の学校の普通だった。学力は都会より落ちるのは当然、全国一律学力テストが時々行われていたから、多分そういう結果を先生は知っていたはず。

 

ま、生徒には、雑談の方がおもしろい。近藤先生、大声で話すし、生徒は大声で笑うから、ブテン先生の隣りの教室はうるさくて困っている、と聞いたような気がする。毎日生徒と接するのは楽しい、しかるに、通知表を渡すときは、こんなに悲しいことはない、というわけだ。生徒を成績順位をつけて渡す。そういう意味で、教育ということを考えれば、その通りだ。

 

生徒の能力を評価して優秀5、やや優秀4、普通3、やや劣る2、劣る1、5段階に分けて評価した。もちろん今もそうだが、優秀な生徒に学年末にクラス5人くらい賞状を貰えることに、なっていた。6年生の卒業時には、市町村の上の郡の郡長から卒業生の成績トップに郡長賞の賞状が渡されていた。

 

おませのワセ(早稲)の子、また教育熱心な家の子は、その賞状にありつける。当時も、疑惑の賞状もあったように思ったのは、某校長の親戚だという女の子、朗読すると声が震える子がいた、その子、必ず賞状を貰っていた。ヘンだなと思われていた。長じて、その子の旦那に聞くと、主要5科目はダメだが、その他の科目は出来る子だったとか。

 

九州の「大分」県をなんと読むか、ダイブ、オオブン・・・父母参観日に問われて、みんなが答えられないでいると、親達がコソコソと教えているのが聞こえてきた。そこで、手あげて答える競争心があまりなかった。

 

私、小学校4年まで、学力で競争など考えていなかった。教室の後の空きスペースの板の間でスモウを取っていた。負けたんだろうな、ひっくり返って、頭を打った。今までない衝撃を受けた。その衝撃から、しばらくして、頭がはっきり動き始めたような気がした。不思議なことに、その年から成績が上昇し始めた。某タレントは、小学2年生まで、精密機械のように成績抜群だったのだが、頭を打ってから、急に記憶力が悪くなって成績もダメになってきた。精密機械が故障したのかも、と語っていたが、テレビの箱をボンボンと叩くと映るときがある、アレと同じことが頭の中もそういうことがあるのかも。

 

通知表で評価すると、5段階で相対評価では、能力評価はできないのではないか、と思っている。英語能力、数学能力など、目標クリアしたら、次の段階へ進むことで卒業すれば、劣等感抱かないで勉強できるはずだ。あとから伸びていく能力タイプの生徒はそれで能力を身につけていける。

 

100点中5点でもライバルより勝てると嬉しい、この心理、人間いくつになっても抜けないのは確かだ。勉強が人に勝つための道具になっている現状を考えてもらいたいものだ。勉強はすればするだけ、たのしくなるものでないと、子供の勉強離れが激しくなる。卒業すると、ヤレヤレ解放されたと思って、勉強しなくなる。勉強は一生していくものだけど。00008

 

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