2013年1月 8日 (火)

日本憲法★アメリカ女性★ゴードンに勝る草案を書けるか

Gordonjapon_4 GHQで日本憲法草案を書いた現場を知るベアテ・シロタ・ゴードンが、唯一生き残りであった。終戦時の昭和21年、彼女は22歳で民生局の一職員であった。彼女が89歳で亡くなった。
Beate Sirota Gordon, 1923年10月25日 - 2012年12月30日):
ウィーン生まれでウクライナ系ユダヤ人(ロシア統治時代)の父母を持ち、少女時代に日本で育った米国国籍の舞台芸術監督、フェミニスト。1946年の日本国憲法制定に関わった人物。ベアテ・シロタ・ゴードンwikipedia
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 22歳で連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局に所属し、GHQ憲法草案制定会議のメンバーとして日本国憲法の起草で人権条項作成に関与した。 日本では憲法24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)草案を執筆した事実が1990年代になって知られ、著名となった。2012年12月30日、膵臓がんのためニューヨークの自宅で死去。89歳没。
 有名ピアニストだった父が東京音楽学校(現東京芸大)に招かれたことに伴い、一家で来日。5~15歳まで東京で暮らした。米国の大学に進学後に太平洋戦争が開戦。ニューヨークで米タイム誌に勤務していたころ、日本に残った両親の無事を知ってGHQの民間人要員に応募、45年に再来日した。

22_3 25人の民政局員の中では最年少の22歳だった。憲法起草委員会では人権部門を担当。10年間の日本生活で、貧しい家の少女の身売りなどを見知っていたことから、女性の地位向上を提案。14条(法の下の平等)や24条(両性の平等)に反映された。

新聞報道では、おおまかな事実しか記載されていないが、実際にゴードンさんの講演を聴いたり、活動を支援していた人の記録には、割と詳しい伝記が残されている。

Beate_2  民政局員25人の最年少のベアテ・シロタ・ゴードンが、大きな権限をもっていたわけではないだろうが、女性や子供の権利について熱心に調べ、草案つくりに協力していた。彼女の仕事は、焼けのこった日本の図書館を回り各国の憲法を調べることだった。

 彼女は、日本語が堪能であったし、そのほか6カ国の言葉ができるので、「ワイマール憲法」「アメリカ合衆国憲法」「フィンランド憲法」「ソビエト社会主義共和国連邦憲法」などなど図書館から借り出した。「スカンジナビア憲法」が役に立ったと言う。
 若いがゆえに、日本のためというより、女性の権利のため、理想の憲法を作りたいという熱意があった。相当詳細に渡る条文をつくり、提出した。

E382b9e382ade383a3e383b3000306d0d  日本のおめかけ(蓄妾制度)を知っていた彼女は「子供を実子、養子、私生児などで区別するな」と、くどいほど書いている。また、子供たちの高い死亡率を心配し、「児童は、医療、歯科、眼科を無料で治療を受けさせなければならない」という項目さえある。

 しかし、彼女の書いた草案は民生局で、「憲法は原則を書く」という責任者の意向でほとんどカットされた。この時、彼女はひと目をはE382b9e382ade383a3e383b30004a53da ばからず大泣きしたそうだ。民生局のリベラルな男性メンバーでさえ、女性や子供の権利については無理解があったと述べている。
 ベアテさんの草案は、日本政府に提示する段に、また「なんだ、これは!」と日本側が大騒ぎになり、激論になりかけた。
 ベアテさんは、通訳として同席していたが、上司が「女性の権利はベアテ嬢が確固たる信念で書いたもの。このまま通しませんか?」と助言して、落着したという。

 当時の日本側憲法草案には、一般国民男性の権利もなかったくらいで、「女、子供」は、戸主の下の存在であるから、権利を主張など、言語道断ということだった。
 ベアテ・シロタ・ゴードンが書いた草案は、日本の女性のためだけでなく「世界のすべての人たちの、実現されるべき理想であり、希望だった」と、彼女が語っている。

Ghq 「GHQの押し付け憲法である」と、声高に言う人はいることでしょう。
 偶然かもしれないが、民主的な(女性の権利の)意識の高いベアテさんという人が選ばれ、日本憲法草案に「女性とこどもの権利」を書いてくれたことは、歴史的な幸運だと感じる。
 これが、自主憲法だということで、日本人が制定したら、あるいは、改憲したら、このような人類の最先端の意識を盛り込んだ憲法はできるだろうか。
 世界人権宣言と同時に、憲法によって、人権が「平等」「自由」は当たり前のこととして60年間過ごして来られた、その幸福が何よりの憲法の果たした意味である。まだ、日本人の人権意識が、現在の憲法のレベルに達していないから、多くの改憲論者と付和雷同者が不満を述べるところである。

T0003181a  人類の理想を実現を目指した日本国憲法を世界の人に誇ってもいい。これを社民党は護持しようとしているが、残念ながら、国民意識は社会党を滅亡に追いやっているが、これは委員長福島瑞穂の努力不足である。
 人類の理想が書いてある日本国憲法ほど、読んでいて心地のいい文章はない。その文章を知らない人ほど、改憲を叫ぶ。これを書き換えたら、どんな醜い主張がでるやら・・・。原則はそのままで、書き換えないで、現状に合わせて読み替えでやりくりしていけばいいじゃないか。今の政府だったら、きっと改憲草案は自主防衛の名で世界をあやうくする。ベアテ・シロタ・ゴードンに勝る「女性の権利」を憲法上で謳えるか。きっと官僚たちは、「等」などを使って、妙な細工をするに違いない。

 憲法に手をつけたら、「世界中に宣戦布告している」と大騒ぎで、反日騒動どころではないだろう。理想の憲法を世界に読んでもらう努力のほうがいい。ぜひ、世界の首都に「日本本国憲法」銅版にして埋め込むのがいいのじゃないか。

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世界はひとつ★アジアの統一★信長の世界戦略 

066  織田信長の考えを秀吉が実行しているように見えるのが、朝鮮征伐と称する「唐入り」である。これの総責任者の豊臣秀吉は、老年期に入り、判断力が弱くなっている。織田信長のまだ元気だった時期にこのアジア統一をやったら、実現可能であった。と言う推論である。

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 織田信長が本能寺の変で倒れなかったら、尖閣諸島の問題、竹島の領土問題はなかっただろう。ifイフのイフだというが、黒鉄ひろしの大風呂敷の仮説を聞いてしまうのだが、織田信長の視座の高さは、そのころの武将にはないくらいの理解力である。
 現代もその目で見ると、どうだ?信長の理解力を現代にもってきて、政治家で匹敵する人物がいるだろうか?

民主主義の時代に世界征服を視野において、領土拡大、他国の統治など考えるべくもないが、いまから500年前に、世界が統一の機関でまとまっていたら、尖閣諸島の領土問題で争うこともない。当時の日本以外の国に住む住民は虫けら同然だったかもしれないが、現代の分立国家のほうが問題だ。当時の感覚からしたらアジア統一の概念は、かなり先進的だ。

 秀吉の考え方も、信長の模倣だろうと思う。秀吉は織田信長のうわっつらを真似しただけだから、家康も秀吉の死後その計画を止めただけだ。世界的には、シーザー(カイザル)、アレキサンダー、チンギスハンの壮大な世界征服の実行者がいる。信長が本能寺の変で倒れなかったら、年齢的に見て、世界征服実行の適齢期であった、と思われる。彼らの知恵より数等倍あった。毛利さえ始末してしまえば、日本は片付いたのだ。それで終わりと思うか、それとも、コレを起点とするか。天才と凡才の分かれ目はここにある。
084083 信長は、10年計画で明を征服して・・・と思ったらしい。その証拠は、フロイスの書簡に残っている。
アジア諸国を従えておけば、現在の領土問題で争いは存在しない。世界、少なくともアジアは統一国家で、世界経済の中心であったかもしれない。戦力の余計なエネルギーはいらないわけだ。

大きな立場で、歴史を見たとき、いつかは地球上を統一国家にしなければならない。行ってみれば、今まさに世界は戦国時代だろう。光秀が信長を倒してしまって、アジア統一のアイディアは消えてしまった。日本を飛び出して、信長が世界統一まで夢想しても、ほかの武将では、そこまでやれないし、考えが理解できない。

081 宣教師ルイス・フロイスから、地球儀をもらって、ソレを眺めて、日本の存在と地球の形を即座に理解したという織田信長の理解力は、群を抜いていた。その当時、自国の一所懸命、領土拡大がせいぜいで、国内統一にまで考えつかないし、ましてや世界統一、アジア統一までは理解できないのが普通の武将だっただろう。その点で、織田信長の天才であった。ただし、そばに仕える武将は、よほど信長の気性を理解して心酔しないと、逃げ出したくなる。明智光秀は、たぶん自分のほうが頭がいい、日本を上手に治められれると思っていたに違いない。
「近くの天才は、単なる気難し屋」
「天才は近くにいると理解できない」

 武力的に見て、世界で一番武器が優れていた。戦国時代を100年にわたりすごし、武将の技術も進んでいた。戦国時代の終わった後、明治維新の後の武士階級の始末で困ったように、信長もソレの戦争屋たちの後始末で頭を悩ましただろう。

 エンドレスに戦争していけば、ババ抜きを外国にもっていく考え方であったか、信長なら家来に命令を上意下達、徹底できる。亀甲船で朝鮮では秀吉は失敗したが、信長には武器の優れた面、船でも優秀な工夫があった・・・歴史から見てのifイフのイフだが。もし信長を本能寺から脱出できたら、
 本能寺の地下道の脱出路がふさがれていなければ、命は助かったはず、そして信長は再起したはずだ。

Ws000064  歴史上、日本が指導者に傑物を得たのはこのとき、ただ一回だったかもしれない。世界へ目を開いている知識人で、かつ武力を背景に持ったのは、彼以外にいただろうか。
 その意味でも、岐阜県岩村城・・・、キンカン頭とからかわれ、傷つくプライドの持ち主の光秀は、織田信長の性格を見て知性を見落としてしまったのかも。

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2012年7月27日 (金)

「善き人のためのソナタ」東ドイツ盗聴の恐怖

105 『善き人のためのソナタ』東ドイツのシュタージ(対外諜報機関)のエージェントを主人公にしたドラマで、当時の東ドイツが置かれていた監視社会の実像を克明に描いている。第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。評価AA
 図書館で借りたDVDであるが、実によく出来た作品であった。実録ビデオかと思うほど、ハラハラした。東ドイツ政府系の監視機関が西の民主化思想持つ文化人、思想家を監視する。留守中に入り込み、監視相手の家にマイクを設置して、24時間担当官が聞き耳を立てその報告を毎日している。このように、東ドイツの監視は徹底している。

今後このDVD見る方には、あらすじを知らないほうがいいという考え方もありますが、あらすじは知って見たほうが理解が深まると思い、紹介します。

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119  1984年の東ベルリン、国家に忠誠を誓うヴィースラー大尉は、国家保安省(シュタージ)の局員である。ある日、反体制の疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視するよう命じられる。
 さっそくドライマンのアパートに盗聴器を仕掛け、ヴィースラー大尉は徹底した監視を開始する。

★シュタージとは
 
1949年にドイツ民主共和国(東ドイツ)建国翌年、1950年には国家保安省(シュタージ=秘密警察組織)が創設された。その前身はナチス=ドイツ時代のゲシュタポや親衛隊情報部(SD)にあるとも言われている。シュタージは反体制派弾圧・監視をする、西ドイツ工作を行う対外諜報機関でもある。
 1989年のベルリンの壁崩壊時には
9万1千人の正規職員を抱えていた。ちなみに、ナチス=ドイツのゲシュタポの職員数は約7千人規模だった。しかも、いわゆる密告者・協力者を17万4千人擁し、人口1600万人余りの国に26万4千人もの監視員がいた。人口1700万人で計算すると、国民100人当たりにつき、1人以上はシュタージの監視者がいることになる。
 1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊し、12月にはシュタージ(国家保安省)は解散された。1990年に東西ドイツが統一されシュタージ機密文書の閲覧が可能になった。閲覧申請ができるのは本人のみ。過去の自分の監視記録を調べることができる半面、友人や同僚家族がシュタージの協力者・密告者であることが発覚することが少なくない
。(2009年5月28日付AFP通信)。

 1984年、冬のベルリン、ヴィースラー大尉は、優秀な国家保安省・通称シュタージと呼ばれる東ドイツ秘密警察の優秀な役人で、彼は、尋問のプロであるばかりでなく、後進の若者たちに大学で尋問の手法を講義する教官でもある。。
 主人公ヴィースラー大尉と共に学んだヴォルヴィッツは出世して、今や、国家保安省の中佐として、ヴィースラーの上司になっていた。上司となったヴォルヴィッツ中佐の交友関係は幅広く、大臣とも関係があり、ゆくゆくは党の中央委員会に登りつめるを目標にしていた。
 それに対して、部下になったヴィースラー大尉は、器用な人間でもなく、至って真面目で寡黙な人間で上層部へ登りつめる野心はない。ただ、自分の職務に忠実であること、そして東ドイツ政府を支える社会主義体制に忠実である。彼はそれら社会主義体制の信条に従い、シュタージ(国家保安省)の仕事に誇りを持って、人生を過ごしてきた。

 彼ヴィースラーが、ドライマンという作家の盗聴・監視任務を任されたことから人生の転機を迎えた。彼が、なぜ国家体制に反逆する「社会主義の敵」であるドライマンを救い、自らを窮地に陥る行為をしたのか。
 そこには彼らしい、一本筋の通った選択がああった。ヴィースラーは真面目に社会主義を信奉して、国家体制に何らの疑問も抱いていなかった。仕事の腕が一流だからこそ、今回の大仕事、作家ドライマン監視を任された。
 まず、盗聴器を仕掛けるために一昼夜ドライマンを監視し、部下を使って手際良く盗聴器を仕掛け、それからは、盗聴器を通し監視を続けた。ドライマンの生活を残らず報告書に書きとめ、上司のヴォルヴィッツに報告した。

113  しかし、監視対象ドライマンには、恋人、クリスタ・マリア・ジーラントがいたが、実は党の実力者ヘムプフ大臣の愛人だったのである。クリスタは恋人のドライマンが監視される以前から、国家保安省の協力者でヘムプフ大臣とも関係があった。
 ヴィースラー大尉の監視によって、この関係が明る104 みに出ることは、彼の上司ヴォルヴィッツにとっては重大な問題だった。今回のドライマンの監視作戦自体が、ヘムプフ大臣肝いりの作戦である。しかし、党の要職にある人物ヘムプフの私生活を公に暴くことは、ヴォルヴィッツの出世にとってマイナスになってしまう。
 そこで、ヴォルヴィッツは、部下のヴィースラー大尉の報告書を握りつぶし、「大臣に関する情報は文書でよこさないように」と念を押す。「私の出世、君の出世…協力しろ」と言ってヴィースラーに大臣に関する部分の情報を報告書から削除するように要求した。

 ヴィースラー大尉は、上司ヴォルヴィッツ中佐の態度に不信感を抱いた。彼は、友人でもあり上司のヴォルヴィッツに、入党の誓い「われらは党の盾と剣」の信念を思い出させようとした。しかし、ヴォルヴィッツは「私が党に入ったのは、有力者に取り入るためだ。」と、答えた。
 本当に「党の盾と剣」のために入党したなら、大臣が反体制派の監視対象関係者と関係を持っている事実は報告されべき情報のはず。それが、党の要職、大臣ならなおさらである。ヴィースラーはそう考えた。
 が、上司ヴォルヴィッツは違った。大臣を告発すれば、自分の出世の途が断たれる。出世のため、高官を監視することはできない、とヴィースラー大尉の考えを突っぱねた。

 ヴィースラー大尉は、党のため、社会主義国家のために働く、忠義の人であった。しかし、上司ヴォルヴィッツ中佐は自分の出世のために働いている。それは、ヘムプフ大臣も同じく、自分の欲望の赴くまま行動している。党の幹部たちは、東ドイツのため、社会主義のためではなく、出世や欲望を達成するために働いているという現実に接した。

 人間の世俗的な欲望によって、当初の崇高な目的は葬り去られた。
 ヴィースラー大尉は、今回の任務を通して、党が民衆のためではなく、出世欲や金銭欲によって動いているという現実に目を見開かされた。今まで、彼は国家のためと思い、反社会主義者に対する尋問は40時間が基本と言い切って任務をこなしてきた。しかし、党の幹部たちは自分のことしか考えていないのではないか。

 主人公ヴィースラーはこの現実を知ってしまったとき、自分の中で矛盾が生まれた。国家のためと、忠実に任務をこなしてきたヴィースラーであったが、上司ヴォルヴィッツ中佐からは、出世のために任務を曲げることを要求される。社会主義のためではなく、個々人の欲望のために、民衆を監視し、盗聴する。一体、自分は何をしているのか。彼は迷い始めた。

 そんなとき、愛人クリスタが大臣の車でドライマンの家に帰ってきた。監視対象のドライマンが「クリスタと大臣の関係」に気が付くように、ヴィースラー大尉は、仕向ける。案の定、ドライマンは黒塗りの高級車で帰宅するクリスタを見て、「苦い真実」を知る。

 しかし、監視対象のドライマンは、「クリスタが大臣の愛人であること」を責めも、問い詰めもせず、ただ、彼女のそばに寄り添った。ヴィースラー大尉はこの展開に拍子抜けしてしまった。視聴者である私も、嫉妬に狂うだろうが、このドライマンの胸中は崇高な精神なのか、苦しい胸のうちを秘めて耐えているか、分かりにくいが、監視社会ではの生きかたか。

 108 監視任務の交代の部下、ライエ軍曹が見たのは、眠っているヴィースラー大尉であった。毎日、何分遅刻だのと、勤務態度にうるさい生真面目なヴィースラー大尉らしからぬ姿であった。その夜、帰宅したヴィースラー大尉は、コール・ガールを部屋に呼び、つかの間の快楽ののち、ヴィースラーが味わったのは人恋しさであった。

 次の監視当番のとき、彼ヴィースラー大尉は監視対象のドライマンの部屋に忍び込み、彼の書斎に行き、雑然とした机の周りを徘徊し、乱れたシーツのベッドルームに行って、ベッドの端に触れてみる。そして、ヴィースラーは本を一冊持ち帰った。

 091 監視者であるヴィースラー大尉は、あえて「大臣とクリスタの関係」を知らせたから、ドライマンはクリスタと破局するだろう、と半ば期待していた。ところが、恋人に裏切られたドライマンはクリスタに怒ったり、彼女を追いだしたりせず、ただ2人で慰め合い、苦しむだけだった。ドライマンは黙ってクリスタを受け入れた。
 一方で、ヴィースラーには妻も、子供もいない。家族はない。ヴィースラーが買った娼婦は、仕事が終われば時間通りにさっさと帰っていく。彼はドライマンとクリスタの間にある愛情というものが、自分の考えていたものとは違うことに気が付く。
 
だだっ広い、綺麗に整頓された広くて清潔なアパートにヴィースラーは一人で住んでいる。そこには生活感がない。一方、ドライマンとクリスタが住むアパートの部屋には、本やペンが書斎机に雑然と置かれ、寝室のベッドは2人が朝起きたそのままになって、ヴィースラーの部屋とは対照的な散らかった部屋。
 そこには、誕生日プレゼントにもらった木製のサラダフォーク。これを"孫の手"と呼んでいた。プレゼントされたペン。このペンで次回作を書くつもりだと言っていた。
 ドライマンの雑然とした机の上にあったのは、この部屋には人間がいて、人間の感情がある暮らしの匂い、友人からの愛、恋人クリスタからの愛。人間の匂い、あるいは愛。ヴィースラーはそれらに触れ、人間の愛を感じた。監視対象者の部屋に忍び込み、本を一冊盗むというやってはいけないことまでした。

 主人公ヴィースラー大尉は、今度は監視対象のドライマンを理解しようとし始めた。自分にはないものをドライマンに見て、彼に人間的な魅力を感じるようになっていた。西側の文学、そして、それにドライマンたち芸術家が一体どのような思想を持っているのか。それを知りたかった彼は本を一冊拝借した。

 ヴィースラーは、それまで社会主義一辺倒で、それ以外の思想は劣ったものとして、知ろうともしなかった。ただ、上司ヴォルヴィッツ中佐ら党幹部の姿勢に一抹の疑念を持ち始めた。
 彼は、ドライマンの人生に理解を示したが、必ずしも、ドライマンたちの思想、西側の民主主義・自由主義思想に全面的に共鳴したわけではない。

 ヴィースラー大尉が知ったのは、監視対象のドライマンたち芸術家仲間は、自分の理念や信念にウソをついていないことであった。
 対照的に、上司ヴォルヴィッツら党幹部は、社会主義の理想を掲げながら、裏で自己利益を図ることに汲々としている。自分の理想に忠実なドライマンたちは、監視者ヴィースラー大尉の目に高潔に映り、彼自身の理想は、崩れかけようとしていた。
 人間として幸せなのは、
ヴォルヴィッツ中佐の生き方なのか、それとも監視対象のドライマンか。主義主張のために多くの人間が不幸になるならば、その主義主張には疑いの目を向けるべきである。主義主張のために、人間が犠牲になるとすれば、それはもはや本末転倒の結果になる、ということに気が付かねばならない。

  117 監視対象のドライマンの部屋から本を失敬してから間もなく、主人公ヴィースラー大尉は、ドライマンのアパートのエレベーターで小さな男の子に
「シュタージ(国家保安省)の人なの ? 」とたずねられ、さらに、「パパが(国家保安省は)皆を捕まえちゃうって言ってた」
 と聞かされ、かつてのヴィースラーなら、男118の子の父親を「社会主義の敵」として報告していたに違いない。しかし、男の子に名前を聞かず、結局見逃した。このときに、道は決まった。それは、この監視作戦からドライマンを助けるという選択であった。

 それには、先、彼は部下のライエ軍曹を監視任務から外した、ドライマン監視作戦を自分の単独任務とし、報告書に虚偽の事項を記載して、ドライマンには"反体制的"な特記事項がないと報告した。さらに、ドライマンの愛人クリスタから、証拠品のタイプライターの隠し場所を吐かせ、クリスタを釈放した。さらに、先回りしてタイプライターを隠し、ドライマンを救う。これで2人とも助けることができるはずであった。

Ws000095_2  そこで、彼はクリスタの尋問の際、
「ファンがいることを忘れるな」「ファンだって(舞台で)待っている」
と二回ファンという言葉を繰り返した。ファンとは、かつて酒場で一ファンとしてクリスタに話しかけたヴィースラー自身のこと。「ファンがいることを忘れるな」とは、ファンがステージに立つクリスタを待っているという意味と、ファンの一人であるヴィースラーがクリスタを助けるという二重の意味が含まれていた。

 ドライマンは、クリスタが自宅に戻った後、隠し場所をクリスタが自白したことを悟り、そして、彼の目が鋭くクリスタを見る気づき、彼女は急に道路に走りだした。そのままトラックの前に飛び出して命を絶ってしまった。

 これは、主人公ヴィースラーにとって青天霹靂の出来事。慌ててクリスタに駆け寄り、
「何も償うことなんてなかったのに」とつぶやくヴィースラー。
「弱い私は償いきれない過ちを犯してしまった」とクリスタは言って死んだ。

 証拠になるタイプライターは、ヴィースラーが事前に持ち出し、「隠し場所にタイプライターがない」と上司ヴォルヴィッツが気が付く前にクリスタは死んだ。もし、「タイプライターが隠し場所になかったことを知ったら」クリスタは自殺することを思いとどまっていたか。これは疑問。

094  クリスタは、既に大臣を裏切り、何らかの処分を受ける可能性があり、上司ヴォルヴィッツも、大臣からクリスタを処罰するように命令されただろう。タイプライターが見つからず、クリスタの供述がウソだったと思われ、虚偽の証言をした罪で、再びクリスタは拘禁された可能性がある。
 クリスタが自殺したのは、何よりドライマンを裏切ったからだ。その激しい罪悪感が決定打となった。クリスタはヴィースラーの尋問の真意を知った上で、タイプライターの隠し場所を自白したのかもしれない。仮にそうであっても、クリスタはドライマンを裏切ったことに違いはない。

 クリスタの言う、「償いきれない過ち」とは、ドライマンの信頼を裏切る、という取り返しのつかない行為をしてきたことを意味するだろう。
 彼女は今回の事件が起こる前から、国家保安省の情報提供者として登録しており、"マルタ"という暗号名まで残っていた。彼女はタイプライターの件よりはるか前から、ドライマンのみならず、ドライマンの友人たち、クリスタ自身の友人たちに対しても裏切り行為を働いていた。
 クリスタの死は、もはやタイプライターが見つかったか、どうかは、問題ではない。クリスタはドライマンのみならず、愛する人たち・友人たちを裏切ってきて、自らの行為にもはや耐えきれなかったのだ。参照
参考あらすじは、私の判断で手を加えました。

 人間を限界まで追い詰めた、東ドイツの監視社会の罪の深さを考えた。この「善き人のためのソナタ」は、若者たちに一回は見させて、考え方の深みをつけるために見てもらいたい。
 シナリオ作家にも、この作法は見習ってほしい。時間順にシナリオが書かれて、カットバックや回想シーンはないから、ストーリーがストレートに伝わる。内容の難しさを難しい印象を与えない。

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2012年7月 8日 (日)

日本の成長に必要なのは、国際化

08   投書のコメント、読めますか?
 日本人が優秀な知能を持っているのは、東南アジアの島々から、多くの人が新天地を目指して渡ってきて住み着いてからである。

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 元の住まいを離れて新しい土地を求める冒険者が日本に住み着いたから、そういう先進的な人の末裔が多いのだろう。それが、長年住み着いていると、後から入ってくる賢い人が自分の領域を荒らすという意識があるのかもしれない。

原発事故の国会の指定したい委員が事故報告していたのは、東京電力のずさんな保安院も、原子力委員も丸め込んでいる姿が明瞭である。この報告書で、彼らが罰せられる?それはまた別問題で、うまく逃げてしまうだろう・・・という悲しい予想が立つ。彼らの東京電力の大きな城の中の住人には、その安住地があらされることが一番の課題。それを守るための知恵が一番必要であって、新天地を求めて外国人が来るのはありがたくも、なんともない。一体、日本のトップは一体何を考えているのか?

アメリカの小学校では、外国から来た日本人の子とか、インド人の子が、一番できるのは、親がそれなりにできる人だからだろう。日本も、外国の能力のある人を日本国内で活躍する場を作り出して、定着しやすくしないと、日本は世界の水準に置いて行かれる。ところが、いわゆる日本人の指導者は、今はそんなできる人間を活躍する場の提供は、考えてもいないのは、明瞭だ。

 日本の小学生の親である30代ママが子供たちに勉強させるのは、資格を取るため、合格のためであって、その後は働く場が安泰であることだ。医者を目指す理由は、収入がいいからであって、世のため、人のためではない。勉強は、学校へ入るためのノウハウであって、ホントウの勉強の意味とは大違いで、合格後は、入学者をとった学校の責任。勉強を自分自身のためという見方ではない。

外国人が入ってくると、日本の産業とか、雇用を狭くするとみるのか、門戸を狭くして仕事をさせないような制限を掛けているのを感じる。例えば、野球の選手は、日本で活躍しているが、外国の技術の高い医師は日本では働けない。国会議員に働きかけてか、医師法の障壁をかまえて、理屈はなんとでもつくが、外国人医師は日本で医術を発揮できない。コレはおかしい。相撲など、外国人力士が上位を占めて、日本人横綱は、ずーっといない。

TPPで、外国の米が入ってこないのも、鎖国の一種だ。外国から米がくれば、米は半額以下になる。そうしたら、ご飯が今の半額で食べられる。 多くの問題点は、この投書にあるように、日本人の閉鎖性が根っこにある。

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