« 大相撲のガッツポーズ、品位が悪いか | トップページ | 「日本軍」沖縄 集団自決、慰安婦問題 »

2009年2月 4日 (水)

暗くて重い女の業 水上勉の原点

273  紀野一義という人が月刊誌「真如」という機関誌を出している。紀野グループに参加している人達をまとめる雑誌である。先生がいつ、どこで講演されるか、それを毎月読んでいいれば、わかる。おだかやかな人柄と、先生の教えが川の源泉のように溢れている。

(薬師寺の)高田好胤は、東京で毎月11、12日は法話を行っていて、その講演のあとに東京薬師寺支部とも言える場所で、高田好胤のファンと共にお茶を飲む。それでファンと触れ合いがあった。
 もちろん今は亡き人であるが、講演のビデオなど見ると、実に講演は落語か漫才で笑っているような気分で、仏教の教えを飲み込ませてくれる。稀有な存在だった。

☆読み始めたら、ここで木戸銭としてクリックしてね!
   ↓   ↓
人気blogランキングへ  nozawa22ブログ順位見る

 7,8年前の「真如」の雑誌の中で、紀野先生が水上勉と講演したときの印象を書いてある。

Mizukami_ben 水上勉(みずかみ つとむ、男性、1919年3月8

日 - 2004年9月8日)は、日本の小説家。福井県大飯郡本郷村(現:おおい町)生まれ。旧制花園中学校(現・花園中学校・高等学校)卒業。1937年、立命館大学文学部国文科中退。
福井県の大工の家に生まれ、5人兄弟の次男として育った。9歳(一説には10歳)の時、京都の臨済宗寺院相国寺塔頭、瑞春院に小僧として修行に出されるが、あまりの厳しさに出奔。 その後、連れ戻されて等持院に移る(これらの経験がのちに『雁の寺』、『金閣炎上』の執筆に生かされた)。10代で禅寺を出たのち様々な職業を遍歴しながら小説を書くが、なかなか認められず、また経営していた会社の倒産、数回にわたる結婚と離婚、最初の結婚でできた長男(窪島誠一郎)との別離など、家庭的にも恵まれないことが多かった。ウイッキペディア参照

「(水上勉は)幼いころ、京都の禅寺へ小僧に出されることになり、若狭から京都へ出る列車に乗って山中に入ったら、窓の外に中年の女の人が髪を振り乱して列車と競走するように、走っている。背中にぐったりした老人を背負って走っている。なんでだろう。男は亭主だろうか、ぐったりしているから病気だろうか。はだしで走る女は列車の窓から見える。
  それにしても、こんな山の中に病院があるわけでもないだろうし、汽車に乗り遅れたから、次の駅で追いつくつもりで走っているのだろうか。追いつくはずもないのに、走っている。と、思っているうちに、女の人は見えなくなった。 これが、水上勉の心情であります。」

 そういって、水上勉は講演を終えたのだそうだ。

 紀野先生は、その講演が妙に印象に残ったらしい。その講演を終えたあと、帰りのエレベーターが一緒に乗り合わせて、一階へ着いた。

 (暗い女の業を背負って生きているんだな)と紀野先生はハタと水上先生の心情に思い至ったと書いている。一筋の細い道を定めて歩き、最後は野垂れ死んでしまう。ハッピーエンドの小説にはない少年時代に列車の中から見た「女性が姿」の光景が脳裏に焼きついて、その心情のところから書かれていることがよくわかった。

 それが恐ろしいというか、怖い感じで水上勉の印象を持っていた。あの人が部屋へ入ってくると、部屋の温度が二,三度下がるような冷たさをかんじる、のです。と、講演で話したら、聴衆は大笑い。

 他の講演会場でも、エレベーターで一緒になり、一階へ着くと
「紀野先生、みんなが降りてくるまで待っていましょうか」
「そうですね、それがいいでしょう」
 私たち二人(水上勉と紀野一義)は、会場の出口のところでみんなが降りてくるのを待っていた。若い人達は、会場の後片付けをしていてんでしょう。二十分ほどして、降りてきました。

 とっくに帰ってしまったと思っていた講師の先生二人が玄関の暗がりで待っていたので、若い人達はびっくりした。
「もうお帰りになったとばかりと思っていたので、相すみません」
 
そのとき私(紀野一義)は「水上先生はちょっととっつきは悪いが、心の優しい人だな」と思った。

 暗い業を背負った女達に対する深い共感と同情もそこから出てくるのでしょう。あのホとの小説は暗い業に押しつぶされて死んでいく女達への挽歌なんですかね。(参照:平成5年12月号真如)

☆今後とも、励ましクリックよろしくね!
   ↓   ↓
人気blogランキングへ  感想コメント↓お書きください。

|

« 大相撲のガッツポーズ、品位が悪いか | トップページ | 「日本軍」沖縄 集団自決、慰安婦問題 »

コメント

暗い業を背負った女達に対する深い共感と同情もそこから出てくるのでしょう。あの人の小説は暗い業に押しつぶされて死んでいく女達への挽歌なんですかね。

投稿: 紀野一義 | 2012年4月20日 (金) 15時14分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大相撲のガッツポーズ、品位が悪いか | トップページ | 「日本軍」沖縄 集団自決、慰安婦問題 »