吾亦紅 われもこう すぎもとまさと
昨年の紅白は、秋川雅史の「千の風」が話題になったが、今年はすぎもとまさとの「吾亦紅わりもこう」だろう。この歌、あなた、あなたと出て,、そして「謝りたくて」とくる。だから、「あなた」は「恋人」かと思って聞いていると、それが「母」だとわかるまでに時間がかかる。この歌はいい歌だし、いい年のおじさんが、お母さんに甘えるにはぴったしだ。
お母さんへの思慕は、いいものだよ、マザコンとバカにしてはいけない。男には、これが精神のライフラインに相当する、と理論的に応援したい。女にはわからないかもしれないが。
坂東英二、「世界不思議発見」の司会者●●さんが、カラオケのオハコにしている。この人らが「おかあさん」と甘えたい気持ち、わかってあげると、この歌の価値が出る。
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吾亦紅 われもこうNHK番組で YouTube - すぎもとまさと/吾亦紅
マッチをすれば おろしが吹く
線香がやけに つきにくい
さらさらゆれる 吾亦紅
ふとあなたの 吐息のように
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰さ 嘆いているか
あなたの あなたの 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり逢いに来た
ただ あなたに謝りたくて
小さな町に嫁いで生きて
ここしか知らない人だった
それでも母を生き切った
俺 あなたが 羨ましいよ・・・
今はいとこが住んでいる家に
昔みたいに灯りがともる
あなたはあなたは 家族も遠く
気強く 寂しさを 堪えた
あなたのあなたの 見せない疵が
身にしみて行く やっと手が届く
バカ野郎と なじってくれよ
「親のことなど 気遣う暇に
後 ではじない 自分を生きろ」
あなたの あなたの 形見の言葉
守れた試しさえ ないけど
あなたに あなたに 威張ってみたい
来月で俺 離婚するんだよ
そう はじめて 自分を生きる
あなたに あなたに見て欲しい
髪に白髪が混じり始めても
俺、死ぬまで あなたの子供・・・
・YouTube - 吾亦紅 (われもこう) / すぎもとまさと
歌は耽美的でなきゃ、とてもなりきって歌えるものではないだろうが、団塊のオジサンたち、子供みたい。いい年こいた男がね、母ちゃんの墓の前で、「来月離婚する」と報告してさ、「俺は死ぬまで、母ちゃんの子だ」とさ。
そんなマザコン、気持ち悪いよ。女たちは引くよ。女はドライだから、メソメソしないよ。死んだものは死んだもの、と割り切って生きていく。自分がしっかりしないと、子供を養えない。女って、そういう大黒柱になっている。昔は、家長制度があったから、自然と男が偉かったが、法律の支柱ががないと、男は偉そうにできない。
男はみんな役目が男にするんだ。課長になると課長らしくなり、社長になると社長になる。男は身分と肩書きが洋服みたいなもの。それを着ていないときの男は、お母ちゃんの子、それが男のマザコンのモトだろう。
団塊の60歳手前、彼らの人生を生ききって、ふと振り返ったとき、母の生き方を慈しみ、愛してくれた母を思い、優しさを掛けてあげなかった・・・と悔恨する。体の中に棲んでいるマザコンの心が目覚める。それ、マザコンだろうか。ふと、自分の女房と比べて、母の方が断然優しいと思うと、涙が流れてくるような・・・そんな気分、決して悪いものではない。母が死んだあと、多分そういう気持ちになると思う。
五歳の私を置いて、母は結核で死んだ。母は享年三十八だった。私の長兄は二十歳だった。兄は、元気な頃の母を知っているし、長男であったから、母の愛情も注がれただろう。
まだ家には、母の形見の着物地や浴衣などが残っていたから、私が東京へ私が出てくるときに、後妻である母は仕立て直して浴衣にして持たせてくれた。二枚もあったから、共同生活したA君が胃を手術するとき、一枚上げた。A君は私の兄の病院に入院し、それを寝巻きとして着て、兄嫁が自宅で洗濯していたら、兄はそれを母の浴衣であると見つけて、弟である私は「母の形見を友だちに上げてしまう、大バカもの!」と兄嫁に嘆いたという。
兄嫁は第三者だから冷静に見ていたが、二十歳まで母を見ている長兄の胸には、亡くなった母のイメージが浴衣地に生きていた。五歳までしか覚えていない私には、母の存在はまるでかげろうのようなものだ、と兄嫁の話から私は痛感した。
親のことなど 気遣う暇に 後で恥じない 自分を生きろ というが、これを追って、文学部を出たあと、「太宰治賞」を狙って、それで何度も小説を書いて、美丈夫だったY君、私が会ったとき、失意にまみれていた。そのうち離婚したと聞いた。精神を病んでいると風の便りがあってから、その数年後、死んだという。なまじ、高校時代、新聞部で文章を書くことに興味もち、破滅的な太宰治の生き方に魅せられて・・・。人はバカだというが。
司法試験に破れて何年も浪人する人、芸能人、歌手、プロ野球やプロスポーツで生きることを志す男にも、ほんの一握りの人にしかライトは当らない。それを思いやってこの歌を聴くと、なお一層味わいがある。
男の夢にかけて生きることの難しさ、これを通して、あるいは胸に秘めて、60代を前にした団塊の人たち、母にすがりつきたい想いがないわけではないだろう。それが胸に風となって吹く・・・。夢って、そんなものかもしれない。夢を叶える人の裏には、叶えられない人が山ほどいる。
そう思って「吾亦紅わりもこう」を聴くと、じーんと来る。お母さんへの思慕は、マザコンとバカにしてはいけない。人生のライフラインだよ。
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コメント
吾亦紅は 今回はじめてききました。
じんときましたねえ。
この歌には 現実があり、生活感があります。
それに加えて とてもベーシックな 曲つくりで安心感があります。
「千の風」の秋川さん、教科書通りで説得力がありません。
声につやもありません。別の歌手が歌っても ヒットにはなったことでしょう。良いマネジメントの会社がついているのでしょう。
でも そこが 人生なんですけどね。
はじめて このコラムに遭遇しました。
投稿: Light of Hope | 2008年1月 3日 (木) 05時47分
まだこれ程「吾亦紅」が知れ渡ってない頃にラジオから聞こえてきたこの曲に衝撃を受け、CDを探しました。何度も何度も聞きました。 知人に話し聞いてもらうと、この曲旦那がCD探してて店にないと・・
その時はまだこれ程ヒットするとは考えてませんでした。聞いては涙する日々一人風呂に入ると必ず歌ってる・・カラオケや居酒屋でもこれは私の歌なのです。
なぜこれほど自分が引きつけられたかの答えは、母への想いです。10年前亡くなった母への後悔です。ボケた母を目の前にしたとき辛くて悲しくて母を直視出来なかった。施設へ送った事が、姥捨て山に思えてる。
5人兄弟の末っ子で母が大好きでいつも母に愛されてる事感じてた。なのに十分な親孝行できなかった後悔一生抱えて生きてく気がする。すぎもとまさとさんのこの曲に出会えて本当によかったです。
投稿: ちゃこ | 2008年10月15日 (水) 11時27分
今、杉本眞人さんの娘(私の友人で歌手)と15分くらい電話で喋って、「鬱治った〜?まだ、睡眠薬飲んでんの?今日は元気いいじゃん!どうなの?厳しいお父さんは?…」と色々と話しました。
まあ、あんまりプライベートな事はコメントしないけど、杉本さんは「お久しぶりね」や「今さらジロー」の作曲家なんですよ。
投稿: N.A | 2011年6月21日 (火) 16時54分